ソロ文化祭はキツい
私はわりと一人でも平気な人間だったので、一人で前菜からデザートまでついたコースを食べてきたり、一人で映画館に行ったりしてた。
女だけど、一人で深夜の牛丼屋やラーメン屋で食事したこともある。
ヒトカラはできるというか好き。したい。
そんな私が、一人で行ってこれはツラい…帰りたい…と思ったのは、文化祭。
これはまだ私が高校生だった頃。私は生徒会役員をしていた。
生徒会には他校から文化祭の招待状がよく送られてくるので、参考にするためにもできるだけ出席することにしていた。
招待状は複数枚送られてくるので、他の役員と一緒に遊びに行っていたのだが、ある日、一緒に来ていたクソオタク仲良しの役員がこう言い出した。「俺、漫研にいるから別行動しようぜ」
その頃の私は漫画など1冊も読んだことがなく、確かに漫研に入り浸るつもり満々の奴に連れて行かれても困るだろうと思われた。
他校の文化祭も複数行っており、まあ一人でもどうにでもなるだろ、と私も別行動を快諾した。
その日行った学校は基本的に教室で出店するスタイル。廊下を歩いているだけでは、何の店をしているのかは分かっても、中の様子は分からない。
軽い気持ちで入ったパンケーキの模擬店が、客がほぼいないスッカスカ状態だった。開店直後だったらしい。
ファンシーな可愛い飾り付けのされた教室。 初めての客、唯一の客として店員にチラチラ見られつつ、「なんで一人?」とか言う小声も聞こえてきつつ、頼んだパンケーキを待つ。
待っているうちに、他の客も入ってきた。ほぼ女子のグループばかり。男女のカップルもいた。ぼっちはいない。
パンケーキきた。なんかちょっと気まずいけど、お腹空いてたしパンケーキ好きだからいいや。いただきまーす。
…めっちゃ生焼けだった。中からとろっと流れてくるくらい生焼けだった。
「これ生焼けなんだけど…」と言ってみても、「え…あ、うん」みたいな感じで去っていく店員さん。
うん、文化祭の模擬店ってだいたいミスった時の対応を考えてないから、「え、私知らないし、知りたくないです」みたいになるよね…。
店員さんを呼び止めて困った感じで応対されているところを見られ、謎のぼっちから、店員さんを困らせるぼっちにランクアップしたらしい。周りの「なんだあいつ」感がすごい。
周りの様子を見るに、他の客はほぼその学校の生徒のようで、知らない奴が一人でいる時点で不審者感があったんだなとようやく理解した。
なんか流石に居たたまれなくなってきたから、早く出たい。食べずに残したら悪いかな…と思ってどうにか完食。
うーん、表面しか焼けてない。小麦粘土シロップ付きって感じの味だ。
さて、パンケーキは気まずかったけど、気を取り直して他の店行くかー!
と思ったら、お腹を壊した。
知らない学校でグルグルいうお腹を抱えてトイレを探すのは、とても辛かった。
在校生か、在校生と一緒に行動する部外者しか想定してないから、案内が不親切…。
そして後から一緒に来たオタクにそれを話したらゲラゲラ笑われた。こんにゃろ…。
そんな感じだったので、他校の文化祭を一人で回るのは駄目だ。
アウェイ感が強すぎて無理してしまう。学生が作ってるんだし文句言っても仕方ないな、とか言いながら腹を壊す。
金を払ってプロからサービスを受けられるから、ぼっちで行動できる範囲がこんなに広がったんだなーと思わされた体験だった。